制震と構造について、まずは四号特例を知ろう
はじめに
前回のブログで家を建てる際に必要な構造計算についてご紹介しました地震や台風など自然災害から安全を確保するためには、しっかりとした計算が必要ということがおわかりいただけたと思います。でも、皆さんが少し驚くかもしれないことを今回はご紹介します。実は一般的な木造住宅では構造計算はしなくても建てていいことになっているんです‼
構造計算が必要な建築物
構造計算はどんな家を建てる場合でも実施することはもちろん可能なのですが、建築基準法では絶対に構造計算が必要な建物の定義が定められています。つまり逆にいうと構造計算しなくともよい建物について定めています。
この法律規定をわかりやすくいうと、以下の通りとなります。
①学校や病院、ホテル、共同住宅、など特殊な建築物で用途部分の床面積の合計が100㎡を超えるもの
②3階建て以上または延べ面積が500㎡を超える大きな木造建築物
③軒の高さが9mを超える木造
④建物の高さが13mを超える木造
⑤木造以外で2階建て以上または延べ面積が200㎡を超える建物
上記項目に該当する建物は構造計算をしなければ建築できないということになりますが、逆をいう日本の木造住宅の大半を占める平屋・2階建てで延べ床免責500㎡以下の家は構造計算をしなくてもよいということが言えます。
それら構造計算をしなくてもよいケースの場合でも必要となる規定があります。それは「仕様規定=壁量規定」という規定です。
仕様規定とは
構造計算しなくてよいと法律で認められている木造住宅に関しては仕様規定に則る必要があります。ざっくりいうと、構造力学的な計算をせずにあらかじめ決められた係数にて簡易的な計算をすることで耐震性などを検討するという内容です。この規定の前提としては建築のプロである建築士が責任を持って設計したものに関しては、構造計算を省略してもよいでしょう、という意図が多いにあります。建築士が設計した仕様規定案件については、確認検査機関のチェックも必要としません。
まとめ
いかがでしょうか?このいわゆる四号特例と言われる規定で建てられている住宅は木造住宅全体の8割ほどを占めると言われています。誤解されてしまうといけないのであらかじめ言っておきますが、四号特例で建てられた家だからと言って構造が弱いわけでは全くありません。通常では十分耐震性を確保した家が出来るはずです。しかし、どんなに法律がよしとしても、実際に計算やチェックをするのは人です。人が行うことには必ずミスはつきものです。家を建てようとお考えの方がもしいらっしゃれば、しっかりご自分でも問題ないかチェックする努力は必要です。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震など大きな地震が起こる度に四号規定の撤廃が議論されていますが、現時点では(2018年5月)まだ撤廃は未定となっています。剛性バランスの悪い家でも法律的にはOKになる場合があるのですから。制震ダンパー検討する際もしっかりとなぜ必要なのか?どのように配置するべきか?十分検討したいですね。